PlatinumGames

Yasutaka Maeki Interview

前木 康孝 インタビュー

つくった自分たちさえ
驚くボリュームを

 

前木 康孝

ゲームクリエイティブディビジョン 大阪スタジオ エンバイロメントチーム チーム長 / シニアエンバイロメントアーティスト

何気ない雑談のアイディアが実装される

キャリアの序盤は、派遣社員として有名タイトルの開発に関わっていました。しかし、なかなかゲームに深く関わることができなかったこと、それに以前から新規IPの開発に強い関心があったことから、転職を検討。いろいろと見ていく中でプラチナゲームズを知り、「ここだっ!」と思って入社しました。それまでは主にキャラクターモデリングを行っていたのですが、『BAYONETTA(ベヨネッタ)』ではエンバイロメントアーティストとして開発に加わることになり、慣れるまで大変だったのを今も覚えています。ただ、背景セクションはレベルデザインを通して直接遊びに関われる機会が多いので、「ゲームに深く関わりたい」と考えていた自分にうってつけだったと感じています。
また、ステージを作っていく中では、「この場所は神々しい雰囲気がありそう。岩の隙間から光が差し込んでいたらどうだろう」「ここは街から離れているから閑散とした雰囲気にしたい」と、ロケーションの想像をふくらませるのが楽しいと感じましたね。「ここは崩壊が始まっているから足場が崩れるのでは?」「乗っているエレベーターが緊急停止して進めなくなったり……」など、起こりそうな事柄をギミックに発展させ、実際に実装できたときにはやりがいも感じます。他のスタッフとの何気ない雑談からアイディアが生まれて実際に実装されることも多いのは、プラチナゲームズの開発の面白さだと思っています。

100人以上のキャラを60fpsで

初めてリードアーティストとして参加したのは、『The Wonderful 101』です。それまで経験してきたタイトルとは全く異なるミニチュア的な世界観を実現するのが大変でした。「100人以上のキャラクターが同時に大暴れする状況を60fpsでいかに実現するか」「各ステージの多彩なロケーションとゲームボリュームをいかに担保するか」「ゲーム画面とWiiUのゲームパッド画面を両方使った遊びをどうやって実装するか」といった課題のほか、ライティングや読み込み、カメラの制御など、検討事項が山積みでしたね。
手始めに行ったのは、情報収集でした。特にエンジン周りでのデータの持ち方、描画の仕組みがどうなっているかといった点については、何度も聞いて回りました。まず構造を知らなければ、手のつけようがありませんから。課題が多かったグラフィック面については、横の連携にも注力しました。キャラクターモデリングアーティストやVFXアーティスト、エンバイロメントアーティスト、プログラマーと週1回のペースでミーティングを行い、トライアンドエラーを繰り返しながら一つひとつクリアしていきました。
また、今でこそゲームボリュームを確保する手段のひとつとして、アウトソースは当たり前になっていますが、当時の背景セクションでは、クオリティコントロールや急な修正に対応しにくいという理由からアウトソースをほとんど行っておらず、ノウハウがほとんど無い状態でした。そんな中、社内のアウトソース窓口担当者と密にやりとりを重ね、発注フローや発注書類のフォーマットを一から作成。コンセプトアーティストとも協力して、修正に対応しやすいデザインを検討するなど、積極的にアウトソースに取り組んでいきました。
こうした努力の甲斐あって、その多彩なゲーム体験やコンテンツ量は、つくった自分たちでさえ驚くようなボリュームになっていると思います。興味のある方はぜひプレイしていただきたいですね。

アイディアが面白ければ必ず耳を傾けてくれる

現在は、主に背景セクションを軸に、ゲームの完成に向けて推進していく役割を担っています。方向性に迷っているスタッフがいれば相談に乗り、業務があふれてしまっているスタッフがいればタスクを分散させるなど、交通整理のようなことをする機会も多いです。その他、他セクションとの連携の窓口になったり、プロジェクトの垣根を超えてサポートを行ったりもしています。実際には周囲に助けられることも多いですが、「背景のことなら前木に相談しとけば大丈夫」とセクション内外から思ってもらえる存在になれたらと思っています。
ゲーム開発では、多様なセクションとのとの連携が重要になってきます。特にプラチナゲームズでは、セクション間の垣根がなく、面白いアイディアならどのセクションだろうと新人だろうと関係なく耳を傾けてくれる環境です。縦割りではなく、チームで連携しながらの制作を楽しみ、思いついたアイディアをどんどん発信してくれる人とともに、今後も働いていけたらうれしいですね。ゲームのアイディアでもグラフィックの表現でも、固定観念に囚われない新しいアイディアは、とても刺激になりますから。

 

PROFILE

Yasutaka Maeki

ゲームクリエイティブディビジョン 大阪スタジオ エンバイロメントチーム チーム長 /シニアエンバイロメントアーティスト

派遣社員として『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』『メタルギア オンライン』などの開発に携わる。よりゲームに深く関われる環境を求めて、2008年にプラチナゲームズ入社。エンバイロメントアーティストとして『BAYONETTA(ベヨネッタ)』『MAX ANARCHY』『The Wonderful 101』『ベヨネッタ2』『TRANSFORMERS: Devastation』『ASTRAL CHAIN』の開発に携わる。