→プラチナゲームズの新人アーティスト座談会パート2! 前編はこちら
– プラチナゲームズ社内の印象はどうでした?
秋山:入社してもっと良くなった印象。やっぱりいろんな人、いろんなセクション関係なくお話しできるのはすごい楽しいな、って思ってて。サークル活動もそうだし、同期もすごく仲のいい人がいっぱいいて、休みの日でも飲みに行ったり、っていうのはすごく恵まれた環境だなと思ってます。
渡辺:会社の雰囲気について絶対に伝えたいのが、「この会社の労働環境は結構良くなってますよ」っていうこと。ネットとか見ると、昔の話しか載ってないんで。当時の印象が非常に根強く残っていると思います。これはちょっと大きくPRしていただきたい。
– そうですね。ぜひここで。
渡辺:僕、就活をやっていたときの印象からしても、そういうことを会社が言っていても、「言わされてるんだろう」みたいな、そういうふうにどうしても思ってしまっていたけど――。
– そういう先入観で見ますからね。
渡辺:やっぱり何かそういうものを発信していってほしい。説明会とかで、しっかり伝えてほしいなと思います。
– 小俣さんは、いかがですか。
小俣:そうですね。“いろんなことにチャレンジさせてくれる会社” を探して、プラチナゲームズを選んだんですけど、実際に入社して働いてみて感じたのは、「やっぱりそのとおりだったな」みたいな。わりと新人の意見も聞いてくれるし、なんか勝手にわちゃわちゃって作って、「これどうですか?」みたいなことしても、「ああ面白いじゃん、いいよ」みたいな感じで言ってもらえたりとかする。“新人の声を聞いてくれる会社” ですごいな、って感じてますね。でも “いいところが逆に悪いところでもある” ということもあるんだろうな、というのは、最近うっすら(笑)
– たとえば?
小俣:クラッシュ&ビルドがすご過ぎて、締め切りギリギリなのに、面白さをテコ入れするために大暴走して新しい要素も入って――。
一同:(笑)
小俣:そういうのも場合によっては必要なんだろうな、と感じたりはするんですけど――なかなか匙加減が難しいんだろうなって。
– 裏と表みたいな感じだと。
小俣:そうですね。あとはそれこそ、さっきも話に出てたんですけど、セクション間を越えて話を聞いてもらえるし、他愛もない話も一緒に楽しく話してくれたりとか、1の質問をしたら10ぐらいの情報を返してくれたりするので、それはすごくうれしいなって思いますね。ほかの会社の結構長期のインターンシップに行ってたときは、わりとみんな職人気質というか、話し掛けても「え、何?」みたいな感じというか、あんま話し掛けないで、みたいな感じの人が多かったんで。すごいフレンドリーに話してくれるっていうのは、働きやすいし、“分かんないことを分かった振りして働かなくて済む” んで、その辺はすごくいいな、って思います。
– 曽山さん、どうでした?
曽山:まずインターンシップ自体にほとんど行ったことがなくて、“会社” に対するイメージもよくある一般的な……“大量のデスクの前でみんなキーボードをカタカタしながら画面に向かってる” って感じだったんで、プラチナゲームズへ来て、まず “仕切りがない” っていうところに驚いて。しかもずっと座ってるわけでもなく、常にどこかのセクションの人のところに行って「ここをこうしよう」みたいな会話が毎日頻繁に起きてるんで、そこは結構イメージと違ってました。本当に入社前は「これやっといて」「はい」カタカタ、で1日を終える、みたいな感じだとずっと思ってたんで、そういう意味ではすごくいいイメージに変わったというか。良かったです。
– 入社してからは新人研修などもありましたが、印象に残っていることはありますか。
渡辺:アーティストの全職種をやれた*ことです。全ての技能――キャラクターモデリング、コンセプトアート、エンバイロメント、VFX、UI、アニメーション、シネマ――。それがすごく楽しくて。もう、僕が “どの職種に行くか” っていうのを決めるための大きな手助けになったと思います。あれは本当に大きかった。
*あくまで2018年の研修内容であり、毎年同じ内容とは限りません。
– 実際、それで自分が一番 “やりたい” と思ったところに行くことができた。
渡辺:“行くことができた” というか、“悩むことができた” っていうのが大きくて。僕は本当に、コンセプトアートをやりたくてプラチナゲームズに入ったんですけど――もう「コンセプトアート以外あり得ない」みたいな。でも実は結構、頭の中で妄想していたこともあって、“映画のカット割り” をやりたい、と思っていたのが研修で体験できたり、あと、エンバイロメントで3DCGソフトを使ってステージを作ったりとか、そういう “実はやってみたいと思っていたこと” も含めて、一通り体験して “迷うことができた” 。それがすごく大きかったですね。
小俣:“全職種をやらせてもらえる” っていうのは――ほかの会社で言われたことなんですけど――「ポートフォリオが2Dのアートで来た人は、その2Dのアートでしか採らないし、会社は “会社に足りない枠” を探しているわけであって、今まで2Dしかやったことがない子に、じゃあモーションお願いします、なんていうことはあり得ない」とのことでした。会社に入ってから、そういう転職っていうか、「セクション間を異動するなんてほとんどない」、みたいな話を聞いてた中で――プラチナゲームズは全部の職種やらせて、「どうだった? 何に一番興味持った? どんなことやってみたい?」みたいに “聞いてもらえる” っていうのはすごい、いいなって思いました。あと、全部の職種をやることで、私、今までVFXのイメージって―― “爆発” 、みたいな(笑)
一同:(笑)
小俣:――そういう印象しかなかったんですけど、実はVFXって画面の結構大きい範囲のクオリティをコントロールしているというか。ほかのセクションがいろいろ仕事を重ねていって100%にしたものを、“120%、150%にする仕事がVFX” なんだな、っていう。今までそんなに興味なかったんですけど、研修を受けたことでVFXにもすごく興味がでてきて――自分はVFXセクションじゃないけど、「ちょっとやりたいな」と(笑)。あとやっぱり全部のセクションをやることで―― “業務の一連の流れを、実際に自分たちで体験する” ことで――ほかのセクションに対して “こういう仕事をしたら、次にこういう仕事がしやすいんじゃないか” とか、“どういう仕事をしたらいいのか”、みたいなのが見えてくる。もっと的確なことを言えたりとか、ほかのセクションのことを考えた意見が言えるようになるので、すごい、「めちゃめちゃ良かったな」って思ってます。
曽山:“全部やらせてもらえた” っていうのもよかったんですけど、私は “同期のなかで役割をシャッフルして、それぞれ他の人にアートディレクターになってもらう*” っていうのが最初に体験できて良かったな、と思いました。やらないで実際の業務に入ってたら “他のセクションの先輩たちと、どう接していくべきなのか” すらもたぶん分からなくて、そこで悩んで病んでたかもしれないので。そういう意味では逆にまだ話しやすい同期の間で最初にやったから、それで「こんな感じでやっていくんだな」っていうことを知れたのは本当に良かったなと思います。
– コミュニケーションの土台をつくるきっかけになった。
曽山:そうですね。その点が一番。
秋山:なんかもう3人がほとんど言ってくれたんですけど―― “会社の中で各セクションがどう動いてるのかを理解する一助になった” っていうのと、あと、同期はどんなものが好きなのか、っていうお互いのプロフィールを知る上でもすごく役立ったな、っていうふうに感じてます。
– お互いのことがよりよく分かる。
秋山:どこにこだわり持ってるか、みたいな。それが見えたので、すごく楽しかったです。
– では、今どういったお仕事をされているのか、その中でどういったところにこだわりを持っていたり、やりがいを感じるか、についてお話しいただけますか。
渡辺:僕、就活中の自分に1個、伝えたいことがあって。―― “コンセプトアートはPhotoshopしか使わない” 。
曽山:それいつも言ってる(笑)
渡辺:もう本当に。僕はアートの仕事を経験するにつれて、もっといろんなツールの使い方とかも「勝手に覚えていくんだろうな」と思っていたけど、実際には “本当に自分が自主的に使おうと思わなければ、一切そういうものに触れることはない” 。でも必要だと思うから自分で勉強しなければいけない。
– 人によって “自主的にやってる” ということですね。
渡辺:そう。やらなきゃいけないからみんな勉強してると思うんです。でもコンセプトアートって本当に絵しか使わないんだ、“自分で勉強しないと次のステップにはいけない” んだなと。そこはちょっと誤算というか、そんなところはありましたね。
あと、業務上でプロダクトデザインの知識は生かせることは生かせるけど、ゲーム特有のモノ、例えばNPCのデザインだとか、そういったところまでいくと、やっぱり足りない知識が出てきて、新人だからこそ許されるような時間の掛け方をすることになっちゃう、というか……――結構、時間が掛かって。だから勉強してる、っていう感じです。
– 今はどんな仕事を?
渡辺:今まさにNPCのデザインで……僕が慣れていなかったせいで、時間が掛かっていて。ディレクターから伝えられた要件を自分勝手に解釈するのではなく、そこに「どういう意図があるんだろう?」ということを考えたり訊ねたりだとか、そういう “必要なこと” をやらなかったせいで時間が掛かりました。
学校やインターンシップで作るのはやっぱり結局、“自分が作りたいもの” だから。「これを作れ」と言われて、「はい、作ります」と言って、「 “本当に求められているもの” を作るのは結構難しいな」と。そういう “学校では学べない” 知識の吸収が、自分の目に見えるスピードで進んでいる、っていうのはやりがいがある。
コンセプトアーティストとして実際に働いていても、勉強したいこともあるし、やりたいこともあるし、目指したいところもあって、それを失わなかった、っていうことには僕もほっとしてるし、それが一番のやりがいですね。
小俣:今やってる仕事は――ゲーム自体がだいたい出来上がってきているので、その中での見た目、ビジュアルのクオリティアップの手伝いとかをしていて。主にゲーム内に出てくるアセットを作ったりだとか、インテリアマップの中のショーウインドーのレイアウトをしつつ、ライティングとかレンダリングとかの勉強をしていたりと、“仕事をしつつ勉強もしつつ” といった感じですね。今まで知らなかったいろんな情報が大量に――聞いたこともないカタカナがぶわーっと頭の中に入ってきてるんで、日々、あっぷあっぷしながらも、そのあっぷあっぷしてたり、分からないことがいっぱいある、っていうことに幸せを感じています(笑)
学生時代に難しくて挫折した本――何言ってんのかワケ分かんな過ぎて「なんじゃこりゃ」、でも「たぶん大事なんだろうな」という本だったんですけど、今その内容が「1人でも読めるぞ」と。完全に把握した、ってわけじゃないんですけど、ちょっとずつ「何を言ってるのかが分かる」っていうのが、すごい喜び、って感じですね。
あとは、エンバイロメントで “物理を考慮した、フォトリアルなもの” はどうやって作るのか、といったことを先輩からいろいろ教えてもらってるんで、街中を歩いてるときがすごい楽しい(笑)。「これきっとこうなんだろうな、ああなんだろうな」って。「わあ、テクスチャー!」みたいな感じで(笑)。なので忙しいのが楽しい、って感じでやってます。
渡辺:「本当にコンセプトアーティストになって良かったのかな……」って、今みたいなことを聞くと思うんですよね。
小俣:どうした?(笑)
渡辺:いや、「本当に僕は小俣さんの知らないことを学べているのか?」っていう。
小俣:(笑)
渡辺:僕はいつも思ってるんですよ。「コンセプトアートに小俣さんが来たら僕の居場所は残ってんのかな」みたいな。だって僕本当に、一応、自分でも勉強してるけど3DCGの知識なんて全然もう、まだまだなんですよ。だから、僕の全然知識がないところに来て「僕の仕事を取っていくんじゃないか?」みたいな――。
– 人が成長してるのを見ると。
渡辺:人が成長してるのを見ると、僕は非常に焦ります。
– それもあって “いろいろ学ばなきゃいけないんじゃないか” という思いがあるわけですね。
渡辺:ありますね。
曽山:それいつも長い話になるんで(笑)。――私の今の仕事は、背景の1つのステージで、それなりに大規模なところを任せてもらっていて。それに準じて「細かいところも全部曽山さんがやってね」みたいになっていて、まだどこから手を付けたらいいのか分かんない感じなんですけど――皆と同じように、いま本当にいろいろ分からないことがありながらも、そこを少しずつ教えてもらったりして解決していく過程が、すごい楽しい。新しいツールもどんどん――もう3つか4つぐらい使いながら勉強しつつ、業務していくっていう――そういう忙しさがすごくいいし、いま一番楽しくてやりがいがあるところだと思いますね。
あと、エンバイロメントアーティストはコンセプトアーティストの意見もくみ取らないといけなくて。コンセプトアーティストと会話してて「あなたが目指してるのはこれでしょう?」と思って作った部分を、「そうそう、これこれ!」みたいに言ってもらえるときがたまにあると、すごいうれしいです。意思疎通がやっとできて、このプロジェクトの意味合いをやっと理解したから、それを “狙って作れた” んだっていう――。すごいちっちゃな満足感だと思うんですけど、結構それで自分は感動したりうれしかったりするんで。それは日々の仕事の原動力みたいになってます。
秋山:つい最近まで “フォントテクスチャーの作成” という作業をしてたんですけど、ようやくプロジェクトの世界観に合わせたオリジナルフォントが出来て、先日ディレクターからもオッケーをもらえました。ほかのセクションの方にも「こんなものが出来ました」っていうのを見せる機会ができて、周りの方にも「かっこいい」って言ってもらえて――もう、すごくうれしいです。あとは作ったものを、ほかのセクションの人にも渡せるようにデータ化したり――「この世界観を、もっとかっこよくするぞ」っていう思いを形で伝えられて、今はとにかく楽しいです。
– フォントができたら、もういろんなところで使われますからね。
秋山:そうですね。楽しいです(笑)
-ちなみに実際仕事をしてみて、学生時代に持っていた印象と違ったところはありましたか?
秋山:“ゲーム会社” っていうもの自体がまず “奇人変人の集まり” だと学生のころは勝手に思ってて、きっとサーカスみたいな―― “楽しい人たち” がいっぱいいるんだろうな、と思って入ってみたら、「あ、会社じゃん」と思って。自分がゲーム会社に対して、勝手に妄想してたんだなと思って。
– どんな状況を想像していたのか……。
秋山:やばそうな―― “常識がぶっ飛んでるような人たち” がいっぱいいるんだろうな、っていう。
– “厳しい” とか?
秋山:そう。そういう厳しい方面でもそうだし、楽しい方面でも、なんか「波、激しそうだな」っていうイメージが勝手にありましたけど、なんか「みんなちゃんと考えてる」って。
– ちゃんと考えてる(笑)
秋山:「ちゃんとみんな人間だ」と思って。
一同:(笑)
– 言い直すほどにボロが出てくる……――曽山さんは。
曽山:一番は、“相手がいる” っていうことかなと思ったんですけど。
– “相手” というと。
曽山: “お客さんがいる”、“買ってくれる人がいる” っていう意味合いで。今までは、ただ “自分が満足するものを作りたい” っていう考えで作ってたんですけど、それじゃうまくいかないことが結構出てきていたので、やっぱり「 “相手がいる” ということを一番に考えなきゃいけない」ってところが一番難しい。
– それは大きい要素ですね。
曽山:自分の中では一番大きい。そこを忘れて注意されたことが何回かあったので、これから徐々に覚えていかないといけないな、と思います。
– なるほど。――ではそろそろ、まとめに入ります。今の自分の目標は。
渡辺:僕、基本的に仕事というか、「自分が何を作れるようになるか」っていうのがすごいウェイトを占めているから――そうだな、一番短い目標は「3DCGの技術を自分の生産ラインに完璧に組み込めるようにする」こと。2番目はちょっと飛躍するけど、“何かしらの監督” はしてみたいですね。監督っていうのは、アートスタイル、デザインとか、他の人に指示を出して指揮して、その評価をするっていう仕事をやってみたい。
– アートディレクター的な。
渡辺:そうですね。
– 小俣さんは、いかがですか。
小俣:今、一番身近にある小さい目標は、どんなことでもいいから「ちっちゃい信頼をいっぱいつくっていく」。“この人にこれを任せておけば大丈夫” とか。例えば本当にちっちゃいことですけど、“この人は絶対遅刻しないで、ちゃんと早く来る” とか。そういう「いろんな人からの信頼を積み重ねていく」っていうのを小さい目標に働いている感じですかね。
– 大きめの目標はありますか。
小俣:そうですね――あとはやっぱりゲームって “エンターテインメント” で、はたから見たら正直「ゲームって、何のためになるんだよ」みたいに、たぶん思われていると思うし、実はうちの母親はずっとこういう業界に来るのを反対していたので、親に黙って就活して、もう全部、事後報告で、「就職先が決まりました、大阪行きます」っていう流れで。だからしばらく口きいてもらえなかったんですけど(笑)
秋山:結構、直近の話やん。
小俣:そうですね。だったんですけど、「エンターテインメントとして最高のものを作りたい」、「毎回最高のものを出し続ける」っていうのは大きい目標の中にあって。――最近、大阪でも地震とか台風の影響があったんですけど*、そういう中で落ち込んでいるときに、別にテレビだけじゃなく、持ち歩けるゲームとかで「わっ、楽しい」って思えるものとか、その人の人生のちっちゃい隙間でもいいんで、“心に刺さるもの” を作り続けていきたいな、っていうのは、働き続ける中でずっと目標です。
*この座談会が実施されたのは2018年秋。
– 良い目標ですね。曽山さんは。
曽山:自分も似たような感じなのかな。「あなたしかできない」とか、すごい頼りにされるとか、居場所をつくるとか、そういうのが今のところの第一目標だなと思うんです。今は単純に「新人だから話してもらえる」「新人だからこそ許されている」のを少なからず自分は感じるので、自分から仕事を取りに行って、それで「やっぱりおまえに任せといて良かったわ」みたいに言われる人になっていきたいな、って。もちろん仕事の面でもそうなんですけど、コミュニケーションとかの面でもそうなれたら、一番いいかなって思います。
秋山:私も今は先輩から仕事をいただいて、それを消化しているだけなんですけど、自分でも仕事を見つけていきたいな、と。あと、社内でUIアーティスト向けのマニュアルがあるんですけど、それが新しく入る人にあまり優しくない書き方に感じたので、それを直して次に来る新人に備えたりだとか、今はそういうことに邁進したいなと思っています。
– “自分で仕事を見つける” というのは。
秋山:例えばゲームの中に「こういうものがあったら格好いいんじゃないか」とか。「これがあれば賑やかしに使えるんじゃないか」とか、「これがあれば他のところでも使い回しができる」っていう提案だとかを、どんどんしていきたいなと思っています。
あと小俣さんがさっき言ってたように、いろんな人のほんの一瞬の時間でいいから、「人生の賑やかしの1つになりたいな」というのと。時代を超えても――例えば10歳ぐらい年が離れた人でも “同じゲームをやっている” っていうだけで会話ができるんですよ。そういうコミュニケーションの助けになっていけたらいいなと思います。
-では最後に、この記事を読んでいる就活生に向けてメッセージをいただけますか。
渡辺:もう僕、書いてきましたから。この5つ。(紙を叩きながら)
曽山:多い(笑)
渡辺:この5箇条、この5箇条をぜひ伝えたい。
『就活は1人ではつらいです。情報がまったく入ってこないからです』これが1つ目。
2つ目。『友達と一緒にインターンシップにたくさん応募してください』。
– “友達と一緒に” というのがポイントですか。
渡辺:それがポイントです。それがポイント。
曽山:さみしがり屋かな。
秋山:本当だよ(笑)
渡辺:そんなんじゃないですよ! みんなと一緒に行ったほうが、いろいろ情報交換もできるし、心の励みにもなるし。
3つ目。『面接は練習してください。ポートフォリオも早く作ってください』。面接は特に練習しないと、意外と “普通の面接” をする会社がとても多いので。
4つ目。『作品を作ったら、気に入ってもらうためのプレゼンを周りの人たち相手に行ってください』。プレゼンっていうのは非常に大事なので。
で、5つ目。『自分の作品については誇って、しかし自分自身については驕らないでください』。自分の作品に自信を持っても、あなた自身は驕らないでね。これが5箇条です。
– 今、自分自身でも実践している。
渡辺:自分の作品については誇っても、自分のことは驕らずに。「僕の作品は素晴らしいけど、僕自身は全然まだまだなんで、すいません」。こんな感じですね。
– 小俣さんは。
小俣:やっぱり “知識の収集が将来的に自分を助ける” っていうのは最近感じていて。私が社内で「すごいな」って思う人たちって、例えばSFが好きだったら “その範囲はすごく知ってるけど、それ以外は知らない” とかじゃなくて、SFもすごく詳しいし、それ以外のことも全体的に引き出しを大量に持っていて、何を聞いても「これってこうだよ」とか、自分が作ったものに対して「これって内部の構造こうなってるから、こうじゃない」とか――知識の幅が広過ぎて驚くので。
社会人になると勉強する時間を取るのがだんだん厳しくなってくるので、学生のうちにいろんなものに興味を持って、いろんなものを体験してみて、知識の収集をちゃんとして “蓄えておく” っていうのが非常に大事だなと思います。じゃないと知識の引き出しが少ない状態で、“1つの場所で全部バッてさらけ出しちゃったら、あとはもう何も手持ちがない” みたいになってしまう。それはまずいな、って最近感じたんで、それが一番の、就活生に向けてのメッセージ。
あと渡辺くんも言ってたんですけど、「いかに自分の作品をプレゼンするか」。自分の作品を一番分かっているのは自分だけなんで、「どうすれば、ちゃんと自分の伝えたいことが届くのか」という見せ方を考えること。それと、“会社で働いてものを作る” となると「ここ、もうちょっとやりたいな」って思っても、締め切りに合わせてスピーディーに毎回ぽんぽん作っていかなきゃいけないし、“長時間かけて自分の作品を見つめる時間” とか、“丁寧に作っていく” ってことがどんどん無くなっていくんで、学生のうちに1作品でもいいから、“時間を掛けてじっくり自分の作品と向き合っていく機会” は絶対どこかでつくったほうがいいんじゃないかなって。
– 学生のうちにそういうことをやっておいたほうがいいよ、ということですね。
小俣:そうですね。「仕事だからスピードペイントしなきゃ!」みたいな感じで――ぱぱぱぱって “短時間で大量に出す” みたいなことって、それも確かに大事なことではあるんですけど、働いてからでも全然できることで。働いている中で取れないのは “1つの作品と見つめ合う時間”。学生のうちにそういう時間をつくったかつくってないかでは、たぶんそこで得られるものとか、今後生きてくるものとか、こういうときどうしたらいいんだろう、ってときに対処できるものが変わってくると思うんで、そういう時間は取っといたほうがいいんじゃないかな、って思いますね。
曽山:いろいろあるんですけど、一番は「自分の好きなものをとことん突き詰めて、それを作品に出してほしい」って思います。「いろんな知識が必要」というのも確かにあるとは思うんですけど、好きなものを突き詰めていくと自動的に「周辺の知識を持ってないと、突き詰められないじゃん」みたいになると思うので。とりあえず “本当に好きなもの” をまず探して見つけて、そこをどんどん突き詰めていって、「誰にも何も文句言わせない作品」っていうのが1個だけでもできたら、十分だと思います。それを頑張ってほしいな、と思いました。
秋山:セルフプロデュースの場だから、楽しんでやったらいいんじゃないかな。“なりたい自分を演出できる場” 、だと思うので。
– 演出ですか。
秋山:ポートフォリオをしっかり準備して、面接行くときの服装だとかメイクだとか、そういうので、“短い中で、いかに自分をプレゼンテーションできるか” というのを考える。そういうのを考えていくのが「今後の仕事にもつながっていくんだ」って思うと、楽しんでやったほうが得なんじゃないかな、って最終的には思いました。――最初は就活で体調を崩したりとかもしたんですけど。病院に行ったりだとか……。
– “体調を崩した” っていうのは、風邪とかではなく?
秋山:ではなく、就活のストレスでした。病院に行ったら「そういえば今、4回生だよね。就活は?」って聞かれて、「ちょうど先週、内定出ました」って言ったら、「じゃあもう治ると思うよ」って言われて(笑)
渡辺:良かったね。
秋山:本当に治った。内定のおかげで本当に体調良くなりました(笑)
渡辺:特効薬もらっていたんだね。
秋山:そうそう。
小俣:確かに就活をある意味、“楽しみながらやる” っていうのは大事かなって思いますね。
渡辺:それは……相当難しいけど。
秋山:難しいけど、でもそういうふうに気持ちを切り替えることを意識しておかないと、たぶん今後もしんどい。どこに行っても、たぶんしんどい。
渡辺:そこで最低限の自信は持っておかないと――見失っちゃう。
秋山:うん。
以上、パート1と併せて総勢8名からなる新人アーティストの座談会をお届けしました。
各々のポートフォリオの作り方や考え方、アドバイスなども多く、参考になった部分もあったのではないでしょうか。そしてゲーム業界が得体の知れない魔窟のように見えて尻込みしていた方にとっても、実際の職場の雰囲気を知る一助となったのであれば、これ幸いであります。
さて、次回の座談会は、なんと新人プログラマー5人!でお届けします。ゲーム会社のプログラマーを目指している方には必見の内容になるかと思いますので、ぜひ期待してお待ちください。
それではまた!
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◆バックナンバー
→プラチナゲームズの新人ゲームデザイナー座談会! 前編はこちら
→プラチナゲームズの新人アーティスト座談会パート1! 前編はこちら
→プラチナゲームズの新人アーティスト座談会パート2! 前編はこちら